「毎月の売上表を同じ形に整えて、同じグラフを付ける」。こういう決まった作業をCopilotに頼むとき、毎回ゼロから指示を書き直していませんか。2026年10月のExcelの更新で、こうした繰り返しの作業をCopilotに覚えさせておける「スキル」の機能が広がりました。
・Copilotに毎回同じ指示を長々と書くのが面倒。。
・同じことを頼んでいるつもりなのに、出てくる結果の形がそのたびに違う。。
・「スキル」「エージェント」と聞くけれど、自分のExcelで使えるのか分からない。。
本記事では、ExcelのCopilotの「スキル」とは何か、2026年10月の更新で何が使えるようになったのか、自分の環境で使えるのかの見きわめ方、そして実際にスキルを呼び出したり自分の作業をスキルにする手順を、公式の情報をもとに紹介します。
先に結論:3つのポイント
- 「スキル」は、繰り返しの作業のやり方をCopilotに教えておく仕組みです。公式ヘルプには「スキルは、Excel の Copilot に反復可能なタスクを完了するための情報を提供します」と書かれています。
- 自分の作業をスキルにするなら「@skill-builder」に頼みます。Copilotと一緒にやった作業を、そのまま「スキルに保存して」と頼めます。2026年10月に一般提供への展開が始まりました。
- ただし、まだ全員の画面に出ているわけではありません。公式ヘルプにも「運用環境にロールアウトされており、すべてのお客様が利用できるわけではありません」と書かれています。Copilotの入力欄のメニューにスキルの項目があるかを先に確認しましょう。
Copilotの「スキル」とは
Copilot in Excelは、Excelの横に開くAIアシスタントで、やりたいことを文章で頼むと表・グラフ・ピボットテーブル・数式などを作ってくれます(基本の使い方はCopilot in Excelでできることとデータ分析の使い方で解説しています)。
この頼み方には弱点があります。毎回の指示が自分の書き方しだいなので、同じ作業でも結果の形がそろいにくいことです。「スキル」は、その指示のかたまりを名前を付けて保存しておき、次からは名前を呼ぶだけで同じ段取りを再現できるようにするものです。
スキルには、Microsoftが用意しているもの(組み込みスキル)と、自分で作るもの(カスタムスキル)の2種類があります。自分で作ったスキルは、OneDriveの決まったフォルダーに保存されます。
2026年10月の更新で何が変わった?
Microsoftの公式ブログWhat’s New in Excel (October 2026)で案内された、スキルを中心とした新機能は次のとおりです。提供状況が機能ごとに違うので、ここを押さえておくと「記事のとおりに操作できない」を防げます。表の「Insider」は、新機能を一般提供より先に試せる先行プログラムのことです。
| 機能 | 内容 | 提供状況(2026年10月時点) |
|---|---|---|
| スキルビルダー (skill-builder) | 自分の指示・過去のプロンプト・やってみせた作業などから、再利用できるスキルを作る | 一般提供へ展開中/Windows・Mac・Web |
| データのクリーニング (clean-data) | 余分なスペース・表記や数値の形式のばらつき・日付の不統一・重複・データ型の誤りを見つけて、修正案を出す | 一般提供へ展開中/Windows・Mac・Web |
| スキルレコーダー (skill recorder) | 作業している様子を記録して、そのままスキルに変える | Insider(Windows・Mac)/Webは一般提供 |
| データの取得 (get data) | 外部のデータ元につないで、Power Query経由で取り込む | Web版で提供中(Webのみ) |
| インタラクティブキャンバス ※スキルではなく別の新機能 | ブックのデータから、データの変更に合わせて更新されるレポートを作る | Insider(Windows)/Webは近日提供 |
つまり、今すぐ試せるのはスキルビルダーとデータのクリーニングで、スキルレコーダーとインタラクティブキャンバスは、デスクトップ版ではInsiderに参加している人向けの段階です。
自分のExcelで使える?確認の順番
スキルはCopilot in Excelの中の機能なので、まずCopilot自体が使える環境かどうかから確認します。
- Copilotが使えるか:Excelの右下隅にあるCopilotのアイコンから開けるかを見ます。個人向けならMicrosoft 365 Personal・Family・Premium、職場や学校のアカウントなら契約プランと組織の設定によって変わります。
- ファイルが自動保存になっているか:Copilotはファイルの自動保存がオンになっている必要があります(自動保存にはOneDriveなどへの保存が必要です)。
- スキルの項目が出ているか:Copilotの入力欄にある「追加」(Add)メニューを開き、「プラグインとスキルの選択」(Choose plugins and skills)があるかを確認します。ここが出ていなければ、まだ自分のアカウントには届いていません。
Copilot自体の条件(プラン・保存方法・ファイル形式・計算方法)は、Copilot in Excelでできることとデータ分析の使い方にまとめています。
用意されているスキルを呼び出す手順
まずは、Microsoftが用意している組み込みスキルを呼び出してみるのが分かりやすいです。
- Excelでブックを開き、右下隅のアイコンからCopilotを開く
- Copilotの入力欄にある「追加」(Add)メニューを選ぶ
- 表示されたメニューで「プラグインとスキルの選択」(Choose plugins and skills)を選ぶ
- 開いた一覧から使いたいスキルを選ぶ。または入力欄に「@スキル名」と直接入力する
- 続けて、やってほしいことを文章で書いて送る
実際のメニューの画面は、公式ヘルプのCopilot in Excel でスキルを使用して、反復可能なタスクを完了するで確認できます。
Microsoftが用意しているスキル
Microsoftが作成・管理しているスキルには、次のものがあります。一覧はフォルダーで分かれているので、「フォルダー」列を目印に探してください(このほかに、財務モデリング向けのスキルが多数用意されています)。
| スキル名 | フォルダー | できること | 初期状態 |
|---|---|---|---|
| clean-data | データと分析 | 数式・検索・ピボットテーブル・レポートに影響する、データの問題を見つけて修正案を出す | 自動で有効 |
| skill-builder | 自動化 | 繰り返しのExcelの作業を、再利用できるカスタムスキルに変える | 自動で有効 |
| chart-design | 視覚化 | グラフの作成・編集(タイトル・凡例・データラベルの追加、グラフの種類の提案など) | 初期状態は無効。「プラグイン & スキルの管理」の「視覚化」フォルダーから有効にする |
| brandkit | 書式設定 | ブランドのカラーパレットや文字の体裁を、グラフや表に反映する(ブランドキットが用意されている必要あり) | 有効 |
| theme-design | 書式設定 | Excelのテーマをブック全体に適用し、グラフ・表・セルの見た目を整える | 有効 |
なお、chart-design以外の4つには、公式ヘルプに「運用環境にロールアウトされており、すべてのお客様が利用できるわけではありません」という注記が付いています。「初期状態は有効」と書かれていても、一覧に出ていないことがあると考えておきましょう。
まず試すなら「clean-data」
他部署から届いた表を集計する前の下処理に向いているのが「clean-data」です。余分なスペース、「USA」と「US」のような表記のばらつき、日付の形式の不統一、重複、データ型の誤りといった問題を探して、修正案を出してくれます。
呼び出すときは、「プラグインとスキルの選択」の「データと分析」フォルダーから選ぶか、入力欄に「@」付きのスキル名を入力します。このスキルの呼び出し方は、日本語の公式ヘルプでは「@クリーン データ」、英語版のヘルプとMicrosoftの公式ブログでは「@clean-data」と案内されています。名前の入力でうまく呼び出せないときは、一覧から選ぶのが確実です。
スキルを選んだあとは、次のように頼みます。
この表のデータの問題を確認して、修正案を出してください。修正はCopilotが勝手に確定するのではなく、修正案として提示され、自分が確認してから反映する流れになっています。なお重複の削除は、Excelの「重複の削除」機能でも手作業でできます(やり方は重複データをかんたんにチェック・削除する方法で解説しています)。
自分の作業をスキルにする手順
ここが今回の更新の中心です。「@skill-builder」を使うと、自分の指示・過去に送ったプロンプト・できあがった成果物の例・Copilotと一緒に進めた作業から、カスタムスキルを作れます。
やった作業をそのままスキルにする
手軽なのは、Copilotと一通り作業を終えたあとに、そのまま保存を頼む方法です。公式ヘルプでは次のような頼み方が例に挙がっています。
今行ったことを新しいスキルに保存します。月次売上レポートをテーブルとして書式設定し、負の差異を強調表示し、サマリー グラフを追加するスキルを作成します。後者のように、まだやっていない段取りを文章で説明してスキルを作ってもらうこともできます。できたスキルは、OneDriveに保存される前に内容を確認して手直しできます。思っていた段取りと違う部分があれば、保存する前に直しておきましょう。
保存先のOneDriveフォルダーを作る
カスタムスキルはOneDriveの決まったフォルダーに保存されます。フォルダーは自分で作ることもできます。
- Copilotの設定メニュー(「…」)を開く
- 「プラグイン & スキルを管理する」(Manage plugins & skills)を選ぶ
- 開いた「プラグイン & スキルの管理」の画面で「カスタム スキル」(Custom skills)を選ぶ
- 同じ画面の「OneDrive フォルダーの作成」(Create OneDrive folder)を選ぶ
- 「スキル フォルダーを開く」(Open skills folder)を選ぶと、OneDriveに作られたスキル用のフォルダーが開く
スキルの中身(SKILL.md)の形
カスタムスキルは、公式ヘルプが示す形式どおりに書かないとCopilotに認識されません。形はシンプルで、スキル1つにつきフォルダーを1つ作り、その中に「SKILL.md」というファイルを置くだけです。公式ヘルプに載っている例を見てみましょう。
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name: create-table-bold-first-column
description: Use when I ask Copilot to create a table in a worksheet. After the table is created, bold the first column.
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# Bold the first column when creating a table
When Copilot creates a table, bold the first column so the row labels stand out.
## Steps
1. Create the table as requested.
2. Select the first column of the new table.
3. Apply bold formatting to that column.SKILL.mdは次の2つの部分からできています。
1. メタデータ:半角ハイフン3つ(—)で囲んだ部分。「name」(スキルの名前)と「description」(Copilotがどんなときにこのスキルを使うかの説明)が必須。
2. 本文:作業の進め方を書く部分。書き方の決まりはない。
注意したいのが、フォルダー名をSKILL.mdの「name」と同じにする点です。上の例なら、フォルダー名も「create-table-bold-first-column」にします。食い違っているとCopilotがそのスキルを読み飛ばします。
この仕組みは、裏を返すと便利に使えます。スキルを一時的に止めたいときは、フォルダー名を変えるだけでファイルを消さずに一覧から外せます。公式ヘルプでも、スキルを無効にする方法として案内されています。
SKILL.mdの書き方や項目の詳細は、公式ヘルプのCopilot in Excel でスキルを使用して、反復可能なタスクを完了するに載っています。
使うときの注意点
| 注意点 | 内容 |
|---|---|
| 画面に出ていないことがある | skill-builder・clean-data・brandkit・theme-designには、公式ヘルプに「運用環境にロールアウトされており、すべてのお客様が利用できるわけではありません」という注記が付いている。見つからない場合は時間を置いて確認する |
| 結果は自分で確認する | Copilotは間違えたり読み違えたりすることがある。スキルで出てきた結果も、使う前に確認する |
| 保存先はOneDrive | カスタムスキルはOneDriveのスキル用フォルダーに保存される。社内のルールでOneDriveの利用に制限がある場合は、事前に確認する |
| デスクトップ版で使えない機能がある | スキルレコーダーはWindows・MacではInsider向け、データの取得はWeb版のみ。インタラクティブキャンバスはWindowsではInsider向け |
まとめ
Copilotの「スキル」は、毎回書いていた長い指示を1つの名前にまとめて、同じ段取りを呼び出せるようにする仕組みです。
- スキルは、Copilotの入力欄の「追加」メニューから「プラグインとスキルの選択」で選ぶか、「@スキル名」で呼び出す
- 自分の作業をスキルにするなら「@skill-builder」。作業の後に「今行ったことを新しいスキルに保存します」と頼める
- データの下処理には「clean-data」。修正案を確認してから反映できる
- カスタムスキルはOneDriveのフォルダーに保存され、フォルダー名とSKILL.mdの「name」をそろえる必要がある
- スキルレコーダーなど、デスクトップ版ではInsider向けの機能もある
まずは、Copilotの「追加」メニューにスキルの項目が出ているかを確認してみてください。出ていれば、次に同じ作業をしたときに「今やったことをスキルに保存して」と頼むところから始められます。
